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第6回:攻撃は最大の防御なり

  この一年大学の教員としての仕事ウェイトが高くなっている。特に学生に対して「自分らしい職業人生を考え続ける力」をベースにキャリア関連の取組みに重点を置いている。大学生へのキャリアというとどうしても就活を意識しなければいけないのは事実である。

  しかし、三年生まで漫然と無味無色な生活を送り続け、本格的な就活がスタートしてからエントリーシートの書き方や面接のポイントを一生懸命習得するのは、具材がない(貧困な)料理に一生懸命調味料をふっているようなものである。

  そこで、一年次から「授業でもサークルでもバイトでもいいから少し背伸びした目標を持つ」という取組みを学科全体で行っている。一人一人の学生に目標設定や取組みテーマについてコーチング的なミーティングをしていただく教員には頭が下がる思いである。

  ここで、前段「三年まで無味無色な生活」と書いたが学生面談をしていると一言で云うと「受け身」であり活動的な学生は一握りである。今朝成人式を迎えた学生へのアンケート調査でも休日の使い方の一位は「寝る」。自分の長所の一位は「ない」(因みに短所も「ない」)これがおそらく学生の本音であろう。いや、それらに対しての思考停止状態といえるかもしれない。

  なんせ、一歩前に出ない。授業でもシッカリ調べてきているのにあてられるまでは自分から答えない。これらの学生が就活の段になって「自己主張」をしても付け焼刃でインパクトがあるはすがない。

  いつからこうなったのだろうか。バブル崩壊や景気の後退以降の現象か。それとも私(今年52才であるが)が学生時代もそうだったのか。少なくとも、現在の中国や韓国の学生は違う。

  また社会全般を見ても、「何かしない方が得策」「現状に不満はあるが変化のリスクよりは現状をベースに進めた方がいい」という趨勢になってはいないだろうか。国家全体をみれば増税・原子力発電・TPP全てにおいて前面におし出るのは変化の際のデメリットばかり。

  企業の会議でもややもすると新たなアイデアが出ても、過剰なリスクへッジ議論(失敗したら誰が責任とか)でなかなか改革が前進しないという事例はよく耳にする。

  勿論、前進しない事が勇気であり攻撃的な事もあるであろうが、一人の学生から国家に至るまで「成功したいより失敗したくない症候群」になっているような気がしてならない。

  学生の就職難から未曾有の災害に至るまで困難な状態が続く日本。これら国内的なマイナス環境のみならず、世界規模での環境変化を考えればまだまだ厳しい変化が続く事は必定でいつまでも守りに軸足を置いていてもじり貧と思うのは私だけだろうか。

  とにかく一歩前に出る。新たな取り組みに着手する事に軸足を置いて考える。改めてこの姿勢が大切と考える。

2012年1月24日 平塚 大輔
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