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第5回:人事や管理者はおまわりさんからひまわりさんへの脱皮を

  最近電車の中刷りにある飲料のCMで、「朝、上司に『思いっきりチャレンジして来い』と言われたのに、夕方、『リスクは負うな』とメールが来た」というよくある話を目にした。同様に職場においては、経営のメッセージが「個々のメンバーが主体性を発揮して」とか「既存発想にとらわれない新たな取り組みに向け…」と云われる反面、職場の現実はルールの遵守や目の前にある業務の効率化の追求に四苦八苦という職場が多いのが現実であろう。

  多くの働き人(特に管理職)は、自分の「意」に関わらず上記のややもすると二律背反するメッセージの実現(コントロール)に向けて日々の業務を行う。まさに「贅沢言うなよ」といった心境だろう。しかし、一方でその管理者の下には多くの部下がいて、前段のCM同様の連鎖が生まれている。

  「職場をイキイキ、メンバーが働きがい実感できるようにしたい」と思う反面「制約条件が多すぎる」「そもそも会社自体の状況や方針が…」という多くの管理者が抱える悩みの突破口はどこにあるのだろうか。「こんな時こそ気概を持って」とか前出のように「どんどんチャレンジして…」等のメッセージの羅列のみの活動は日々の業務と連動しないとどこかの政治家の様に言語明瞭・意味不明に陥る。
これらに陥る原因はどんな所にあるのか。制度やルールが精緻化し、効率化を追求すればするほど仕事が細分化されその結果、個々の仕事範囲がクリアになる半面、目の前の業務のみにとらわれ周囲(職場メンバーをはじめ)との関係性が希薄になる。つまり会話・確認をしなくても自分の領域の仕事が進む。むしろ会話は雑談と捉えられ効率化観点から嫌う上司を生む事もある。結果、全体として部分最適主義に陥るだけでなく職場の活気が失われる。

  ましてや昨今の原発問題や各種インフラの規制を鑑みると、国家も企業も総体としては成長を希望しているのとは逆の守りエネルギーが増幅することが多いであろう。細部のルールの徹底、ルール遵守の点検等ルーチン業務が増える。勿論これらは重要な事であろう。ハウスバーグのモチベーション理論に倣うと衛生要因にあたりこれらをクリアしないと前進系の動機づけ要因(内的エネルギーの喚起)には進めないかもしれない。

  まさにこのややもすると同時実現が難しい二律背反したミッションにおいて、人事やマネージャーがどんな姿勢で現場に望むのかが重要となるであろう。人という資源のパワーを最大に引き出す為、表面的には細かな管理は怠ることなく遂行する必要もあるが、心は是非「社員のこころに明るさをともす」そんな意識こそが最も重要ではないだろうか。

2011年3月31日 平塚 大輔
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