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第3回:OJTを見直そう

  間もなく新入社員を迎える企業も多いだろう。人事教育部隊は、前年までのプログラム見直し、トップや現場の要請をベースのプログラム作り等怠りない準備に大変な日々かもしれない。

  一方で忘れてはいけないのは、集合研修終了後彼ら彼女らを現場に配属した後のOJTに関するフォローである。「配属した後は現場の責任で…」とか「そんなところまで現場が解らない人事や教育が干渉するのは…」という意見もあるかも知れないし、一部は正しい考え方かもしれない。大きな企業に全社横断の研修はもとより、部門別に実施したとしても「現場で起こる事千差万別。現場でしか実感できない事が殆どで、それは上司の人材育成という大きな仕事」という人事サイトの主張。一方現場では、「教える時間の余裕もなければ、異動や該当者の志向・レベルの問題もあり中々戦力にならない」等。

  何れにしろ、投入した人材がいかにその持てる力を発揮するか、発揮してこそ人材を投入する意味があるわけで、そういう意味から考えるとある程度の運用は現場に委ねるにしても、投入した後の教育を節目の集合研修のみを運営し、あとは現場任せでは人事教育としていかがなものであろうか。上記のように、能力向上の殆どは現場の経験で、そしてその経験をどのように内省するかが大きなポイント。それらを促進するのがOJT。新入社員に限らず、職務転換や職種転換などの際に起こる日常的なOJTについて、誰もがその重要性を認識しながらそれらに対する「動機づけ」や「スキルの付与」等について力を入れていない企業が多いような気がする。

  読んでいただいている皆さんも思い返していただきたい。私たちは社会に出て出会った多くの先輩や上司から、学びを得たのは、彼らは私たちに何か「伝えよう」とか「教えよう」とか意思をもって接してくれた時だけであろうか?彼らの日々の仕事ぶりやその他の多様な関わりでも、私たちは彼らの言葉や行動から何かを感じ何かを得ていたはずである(たまにはそれが反面教師であったかも知れない)。つまりOJTをしっかり行うと云う事は、教える側・教えられる側が日常業務を通じて相互の役割の中で組織強化を行っていくことでもある。

  具体的にOJT能力向上で期待できる効果として (1)メンバーの育成促進はもとより (2)メンターの役割の強化による組織定着率の向上、そして教える側の意欲を高め (3)会社を自分とくっつけて話すことによる組織帰属意識の向上 (4)育成のプロセスにおいて自らの知識・経験のモニタリング等の効果が期待できる。

  つまり現場においての教育は日々の業務遂行の中で計画的育成以外にいかに部下の目を意識した行動をとるか、そしてそれらを意識した時自分に何が足らないのか、模範になるためにはどうあるべきなのかを気づく事が大切である。OJT研修のポイントは「気づき」と「意識し続ける事の動機づけ」そして「何に気づき」「何を意識し続けるのか」は、コミュニケーションでありリーダーシップマインドであり個別性でありそして自らの経験の振り返りである。

  私も複数企業においてこの二年間でのべ2000名を超えるメンバーのOJT研修を実施したが、各セッションでの振り返りを通し、自分が管理職をしていたシーンを思い出し数々の「気づき」をいただいている。

2010年3月9日 平塚 大輔
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